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意表を突かれる史跡 松阪城

鈴木輝一郎 戦国武将の史跡を巡る 第40回

岐阜在中の歴史作家・鈴木輝一郎がゆるりとめぐる、戦国武将の史跡。
つい見落としてしまいがちな渋い史跡の数々を自らの足で訪ね、
一つ一つねぶるように味わい倒すルポルタージュ・ブログシリーズ開幕!

 誇張ではなく本当に拙宅の近辺には城址と古戦場跡がごまんとある。かててくわえて一ヶ月のうちの十日ほどは、東は蒲郡から西は安土まで車で走りまわっていたので、城址があっても気にしていない。いかんこってす。

 このエッセイの仕事がはじまって、ようやく車の助手席にデジカメ積んで、「〇〇城跡」って看板をみかけたら立ち寄るようになりました。
 今回の松阪城もそれ。

 松阪は二ヶ月に一度足を運んでいます。でも松阪牛は食ったことがない。松阪にきて吉野家の牛丼をかきこむと微妙な気分になりますな。
 以前から「松阪城址」って看板が立っていたのは知っていましたが、「松阪って戦国の戦場になったことがあったっけ?」と思って足を運んだことがありませんでした。

 で、現場に着いてググったら(ドロナワですな)、何のこたぁない、戦国もかなり後期、天正16年(1588)に蒲生氏郷が構築し、その後、紀州徳川家の所領となって幕末。
 要するに「戦略拠点となったことのない城」です。
 それでは気づかないわけだ。

 
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鈴木 輝一郎

すずき きいちろう

作家

1960年岐阜県生まれ。小説家。歴史小説『浅井長政正伝』『戦国の凰 お市の方』など著書多数。2008年には著作が50冊に達した。

日本推理作家協会・日本文藝家協会・日本冒険作家クラブ会員。


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